上州富岡駅舎

世界遺産、富岡製糸工場の玄関口となる駅舎の提案。
震災後、一人一人が力を合わせて立ち上がろうとしているように、明治の夜明けに日本の近代化を牽引した富岡の本当の「強さ」とは、大きな工場より、そこで働いた女工の方々、一本一本の細い「糸」が力を合わせた姿にこそあると思いました。
そこで、世界に遺すべき富岡や日本の、もう一つの財産である"小さな力を束ねた強さ"を表現した駅舎空間を考案しました。

繊細な「糸」の美しさを来客に伝え、その誇りを昼夜に市民に与え、そしてその束が力強さを表す建築を目指して、昼は線状の影、夜は線状の光を生み出すポリカーボネイトパネルを用いて、駅舎全体を繭のようにくるみます。また照明はシャープなラインで絹の持つ光沢や高級感を表現しつつ、光色はほっとする温かさをもつ電球色とし、品格と親しみ易さを兼ね備えた駅舎としました。

  1. 設計:2011.05
昼景/夜景